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君と歩く道で・・・


朝、目覚めると君はいつものようにドアの向こうで尻尾をブンブン振り回し早く行こうよと足踏みをする。
爪がフロアーにあたるチャッチャッチャッという音に、おおよそ君の室内移動を頭に描きつつも僕の頭はまだ夕べの安いアルコールの呪いから逃げられずにいる。
タイマーでスイッチが入ったラジオが今日の穏やかな好天を約束する頃にはベットに起き上がった僕の体は上半身のストレッチを終え、かろうじてのぞいた君の足先によしよしと声をかけた。
もちろん君の興奮もピークを迎えたが、ここでかまうとなかなか後に進めない。
トイレ、洗面所、台所と使い勝手の良くない導線を巡り、いつものコートハンガーからリードを取り、君のカラーへ繋いだ。
毎日の散歩はキライではなかった。
実に平凡且つ単調に終結するこの行為も毎日のリズムに組み込まれると、いつしか無くてはならない時間にさえ思えてくる。
実際、デスクに向かっている時には生まれない思考や発想の源泉がそこにあると僕は気付いていた。
君は相変わらず臭いをかぎまわりながら、概ね決まった場所で用を足すといつもの角を曲がったあたりから朝食が脳裏をかすめるのだろう、早足になった。
季節の移ろいを感じながら僕も歩調を合わせ心拍数をあげる。
一日で一番思考能力が高まるこの時間帯に僕はあることを考えていた。
「犬の散歩に付き合っているのだろうか・・・
 それとも犬を散歩につき合わせているのだろうか・・・」
なんとも実に平和な疑問が巡っている。
そうしていくつかの彷徨いの森を抜け・・・僕はもう迷うことは無いと思ったのだ。
「そうだね・・・君とはそんな関係がいいよね」
妻にはこれから話そうと思う。
君と・・・犬とのんびり暮らせる家を建てようと思ったのだ。




















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